18日からはじまる千葉県議会臨時議会に提出される補正予算案の内容をお知らせします。
今回の補正は、千葉県の震災復興事業が盛り込まれており、その額は528億7千万円。補正後の予算規模は、1兆6,138億4千万円になります。
財源としては、国庫支出金200億円や新たな県債84億円に加え、県の貯金である財政調整基金7億円を全額取り崩すほか、老朽化した県有施設の建て替えや改修用の基金である「公共施設整備基金」を廃止し、積み立ててきた93億円を基に新たに「災害復興・地域再生基金」を創設、そのうち75億円が今回の復興事業費にあてられます。
■平成23年度5月補正の概要
1.東日本大震災への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・435億67百万円
<内訳>
(1)被災者の生活再建支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101億85百万円
(2)インフラの復旧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・192億 6百万円
(3)産業の再生・復興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101億82百万円
(4)学校施設・社会福祉施設等の復旧・修繕・・・・・・・・・・・・・36億47百万円
(5)原子力発電所の事故・電力供給不足への対応調査等・・・3億47百万円
2.財源対策のための災害復興・地域再生基金への積立・・・・・・・・・・・・93億3百万円
<内訳>
(1)公共施設整備基金の廃止→災害復興・地域再生基金への積立・・・・・93億 3百万円
(2)5月補正予算の財源として、災害復興・地域再生基金を取崩・・・・・・71億61百万円
(災害復興・地域再生基金の残高21億42百万円については、今後の財政需要の財源として活用予定)
1+2=528億70百万円
今回、県が打ち出した復興事業の中でも、注目されるのが被災者の生活再建支援関連の事業。特に、液状化の被害を受けていても、現行の被災者生活再建法の対象とならない「半壊」、「一部損壊」の住宅に対し、県が独自の支援策を打ち出したのは、評価できると思います。
液状化により、住宅を解体する場合や地盤を修復する場合は、100万円(単身世帯は75万円)の補助が受けられるほか、半壊家屋の補修をする場合も25万円の補助があります。もちろん実際の再建には、もっと多大な費用が必要ですが、全く支援がないなかで創出されたもので、市町村の負担もありません。
県の予想では、県内約8000棟の適用を見込んでいるとのことです。
被災者生活支援事業の内容は以下の通りです。
■復興事業の内容 (被災者生活再建支援の主なもの)
1 被災者の生活再建支援
(1)生活再建
○被災者住宅再建支援金事業 【新規】 7,800,000千円(県単独事業)
国の被災者生活再建支援制度の対象とならない液状化の被害を受けた住宅(戸建て)の解体
費や補修費に対して助成。
・液状化等被害:住宅を解体する場合 100万円(単身世帯は75万円)を補助
地盤を修復する場合 100万円(単身世帯は75万円)を補助
・半壊補修の場合 25万円を補助
○被災者住宅再建資金利子補給事業 【新規】 200,000千円(県単独事業)
被災した住宅の建替等に係る被災者の経済的負担を軽減するため、資金を金融機関から
借り入れる場合、市町村と共同して利子の一部を助成。
(債務負担行為 800,000千円)
・利子補給率 市町村が1%を超える利子補給をした場合に、県が市町村に1%分を助成
○被災地浄化槽復旧支援事業 【新規】 190,000千円(県単独事業)
震災により浄化槽の復旧が必要となる被災者に対し、単独処理浄化槽から合併処理浄化
槽への整備経費について、県の補助率を引き上げて市町村に助成。
また、既存制度の対象外である合併処理浄化槽の被災による再整備についても助成。
・単独処理浄化槽の被災→合併処理浄化槽(県補助率1/3→1/2) 90,000千円
・合併処理浄化層の被災→合併処理浄化槽(県補助率1/2) 100,000千円
○被災文化財(住宅・店舗)再建支援事業 【新規】 300,000千円(県単独事業)
震災より大きな被害を受けた、住宅、店舗として使用されている文化財の復旧に必要
な経費について、県の補助率を引き上げて助成。
(2)災害救助
○民間賃貸住宅の借上げによる応急仮設住宅の提供 70,000千円
○災害救助事業 930,000千円
○災害援護資金貸付金 300,000千円(県単独事業)
(3)被災者の心のケア
【被災者・支援者】
○災害被災者及び支援者への心のケア推進事業 【新規】 9,700千円(県単独事業)
【高齢者】
○被災要援護高齢者生活支援アドバイザー事業 【新規】 35,500千円(県単独事業)
【児童・生徒】
○災害に伴う保育所児童等の心のケア事業 【新規】 30,000千円(県単独事業)
○私立幼稚園災害対応カウンセラー雇用補助事業 【新規】 3,000千円(県単独事業)
○被災児童・生徒のためのスクールカウンセラー派遣事業 【新規】 14,000千円(県単独事業)
(4)被災児童・生徒への支援 29,100千円
○県内被災者並びに県外被災地からの避難者に対する保育料等減免補
○県内被災者並びに県外被災地からの避難者に対する授業料等減免補助
○県内外の被災生徒に対する教科書等購入費助成(県立高校)
○浦安南高校通学費助成 【新規】
○私立学校経常費補助(被災者転入特別分)【新規】
(5)雇用面での支援
○知事親書による雇用促進事業 500千円(既定予算と合わせ1,000千円)(県単独事業)
○雇用企業開拓員事業(雇用労働課) 23,000千円(既定予算と合わせ 123,000千円)
○新卒未就職者人材育成事業(雇用労働課) 158,514千円 (既定予算と合わせ 992,514千円)
(6)県外被災者への支援
○県外被災地域への保健師派遣事業 【新規】 12,548千円
○県外被災地域へのスクールカウンセラー派遣事業 【新規】 6,000千円
○県外被災地域への事務職員派遣事業 【新規】 11,000千円
この他にも、今回の補正には、道路・港湾・公園施設などの公共土木施設の復旧に192億円、産業再生・復興に112億円などの事業がたてられています。
土木施設の復旧に関しての今回の予算は、県有財産に関わるものであり、今回の震災を受け各市町村で明らかになった課題に対する県の支援策は、現状のところあがってきていません。
浦安の場合は、インフラの液状化対策が大きな課題です。インフラは、安全な都市基盤の基礎であり、その再整備には、莫大な予算が必要となります。浦安は「豊か」と言われていても、一般会計予算規模(平成23年度623億円)からみると、市川市(同1,326億円)の半分しかありません。インフラの液状化対策は、長期的な取り組みになり、県・国からのなんらかの支援が必要になってくると思われます。
こうした取り組みをどうしていくのか、それを臨時議会で県に問いかけられないもどかしさを強く感じます。
いずれにせよ、そうした都市基盤整備には、長い時間が必要になります。継続して働きかけを行ってまいります。