「ちば文化資産」決定
先月、千葉県として初めて「ちば文化資産」が選定され発表されました。その数は111件。浦安からは「浦安の文化財住宅」が選ばれました。選定理由は、旧市街地に保存されている住宅(旧大塚家・旧宇田川家)や、博物館内に移築された漁家や商家や長屋を見学し、当時と現在の暮らしぶりについて比較することができる、というものです。
この他、県民投票で投票の多かった文化資産として、銚子はね太鼓(銚子市)、利根運河(野田市、柏市、流山市)、手賀沼花火大会(柏市、我孫子市)、白浜海女まつり(南房総市)、上総十二社まつり(いすみ市、一宮町)がありました。
県では、ちば文化資産の定義を、「県内の文化資産のうち、県民参加により選定した、多様で豊かな『ちば文化』の魅力を特徴づけるモノやコト」とし、「伝統的なものに限定せず、現代建築や景観等、千葉県の文化的魅力を発信するモノやコトを含む」、としています。
今回の文化資産選定の背景には、2020年の東京オリンピック・パラリンピックがあります。オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典であると同時に文化の祭典でもあることから、県としても、この機会を千葉県の文化的魅力を発信する絶好の機会と捉えました。と同時に、多くの県民に千葉県の文化資産を再認識してもらい、次世代に継承していくことも考えています。
しかし、問題は今後の活用です。県でも、ちば文化資産を広く告知するために、県庁やイベント会場における写真展示や、ホームページ・「県民だより」等県の広報媒体による情報発信、ちば文化資産にまつわる絵画や写真の募集、ちばアート祭の開催、観光客にスタンプラリー感覚でめぐってもらうこと等を検討しているようですが、それだけでは弱いのではないでしょうか。
北海道では平成13年から、北海道遺産として同様の取り組みを行っており、北海道遺産協議会という組織を作って、行政・企業・市民が連携して、選ばれた北海道遺産を支援しています。この連携によって、地元の市民が当事者意識を強く持って資産を守り活用しています。
行政の一方的な掛け声だけでは、せっかく選定した文化資産も定着せずに一過性のもので終わってしまう可能性があります。
千葉県も北海道の先進事例を参考にしながら、企業、地域を巻き込んで、ちば文化資産を活用しての地域づくりと、魅力発信をしていかなければならないと思います。
平成30年9月19日
矢崎けんたろう