消費者行政のこれから
消費者被害が後を絶ちません。消費者庁が今年6月に発表した「消費者被害・トラブル額の推計金額」によれば2017年は約1.9兆円でした。
この金額は2014年の約6.7兆円からは減少しているものの依然として高水準だと言わざるを得ません。
千葉県と県内市町村の消費者センターに寄せられた相談も2017年は約49000件で多くの県民が被害・トラブルに遭っています。
県としても2009年「千葉県消費生活基本計画」を策定して、消費者保護に取り組んでいます。現在は二次計画ですが、二次計画も今年度で終了するため、今、来年度から始まる三次計画の策定作業を進めています。
三次計画では、これまで柱としてきた消費者の保護・自立の他に、新たに「参画」を加えるとしています。
しかし、この参画という表現を私は、わかりにくいと感じています。県は私に対して計画推進に当たっての考え方を「消費者が主役として、個々の消費者の特性や消費生活の多様性を相互に尊重し、自主的・主体的に参画して、次世代に暮らしやすいちばを引き継いでいく」と説明してくれましたが、これだけでは消費者がどのように社会に参画していくのか、中々イメージがわきませんでしたので、表現の見直しを求めました。
消費者被害・トラブルも年々、多様化、巧妙化してきており、被害・トラブルを防ぐためには、消費者自身が自分を守ることと、自分で守ることが難しい消費者は周りが守ることが必要だと考えます。
消費者自身が自分を守るためには、正しい知識や被害の事例等を知る必要がありますので、そのためには教育や啓発を行政が中心となって進めていくことが重要です。
特に民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられることから、学校における消費者教育を充実させなければなりません。消費者庁も文部科学省と連携して高校1年生に消費者教育の授業を行うように、各高校に要請していますが、授業時間が足りないと言われている中、各高校がどの程度、導入してくれるかは未知数ですので、県としても県内の高校に消費者教育をきちんと行うように粘り強く説明していくことが必要です。
高齢者の場合、加齢と共に自分で守ることが難しくなってくるケースも出てきます。その場合は周囲が守ってあげることが大切です。県でも「高齢者見守り講座」を介護ヘルパーや民生委員等を対象に開催して、周りの関係者が気付いてあげられる環境整備を進めています。
この他にも今年、設立10周年を迎えた、「消費者行政充実ネットちば」等の消費者団体とも連携していくことが重要です。消費者団体は消費者の生の声を常に聞いているからです。
県が策定を進めている「第三次千葉県消費者生活基本計画」について、最終的にどのような計画になるのか注視していきたいと思います。
平成30年10月24日
矢崎けんたろう