今月15日に9月議会が終了しました。
今回の議会では、先の6月議会の代表質問で提言した「保育士掘り起こし事業」が、新規事業として提出されました。
保育士不足の現状と必要な施策について、以下にまとめます。
◇◆◇待機児童にも影響
保育士が足りない
全国的に保育士が不足しています。厚生労働省の平成27年の集計によると、、保育士の有効求人倍率は千葉県で1・9倍、約2人の求人に対し、1人の求職者しかいない状況です。平成29年度末までに、全国で約7万5千人規模の保育士が不足すると推計されており、今後更に保育人材を確保しにくくなることが予測されています。
すでに千葉県内の保育現場にも影響が出ています。平成28年4月時点で、保育士が確保できずに、定員まで児童を受け入れることができなかった保育所が60、それにより影響を受けた待機児童は推定200人、全体の14%にのぼっています。
◆◇◆保育人材確保のために
「掘り起こし」と「育成」の二本の柱
今後ますます、保育士の確保が、保育行政の重い課題となることは、明白であり、危機感を持って取り組んでいく必要があります。
代表質問では、県に保育士として登録されている人数が、約5万4千人存在しているのにも関わらず、実際に就労しているのは、1万4千人程度しかいないことを指摘。まずは、この「潜在保育士」に対し、再就職の情報提供や、復職の支援などを行って、掘り起こしを図るよう要望しました。
県はすでに、「ちば保育士・保育所支援センター」を設けて、同様の取り組みを行っていますが、その周知を図るのはもちろんのこと、よりニーズに沿った対応を行い、ひとりでも多くの人材確保が必要です。
9月議会に提出された「千葉県潜在保育士掘り起こし事業」は、県内約5万4千人の保育士登録者を対象に、就職意識・就労状況等の調査を実施。保育士人材バンクの登録促進や就労実態、意識に合わせた就職支援が行われることになります。
更に、保育士確保の施策として、5年以上県内で保育士として勤務すれば、返済不要となる奨学金制度も新たに事業化されました。
長期的に人材を確保するためには、「育成」が重要な柱となります。これから就労する若者に限らず、子育てが一段落した世代やリタイヤ世代も対象とし、資格取得の支援を広く行っていくことを求めてまいります。
◆◇◆保育士に選ばれる行政
保育士の待遇見直しこそ抜本的対策
厚生労働省の調べでは、保育士として就労しない理由として、保育士の「所得の低さ」及び、「正規雇用の少なさ」があげられています。保育士の所得レベルは、その拘束時間の長さにも関わらず、幼稚園教諭より低く、公立保育園でも正規職員は半数程度(全国平均)です。待遇改善のために県としてできることはないのか、検討していく必要があります。