一般企業では、期末後決算書を取りまとめ、2ヵ月以内に申告しなけれなりませんが、地方自治体は、3月の年度末で会計を締め、決算書を毎年9月議会に提出します。
議会では、正副委員長以下16名の議員で「決算審査特別委員会」を組織し、約2ヵ月にわたって所轄部署ごとに決算内容を審議、12月議会の本会議で結果を報告します。今年度私は、委員の一人として、25年度決算を審議しました。
決算書は、「企業・組織の成績表である」と言われます。企業会計では、「利益の追求」が団体の目的であり、その成績は、経常利益という明確な数値で現されます。
しかし、官庁会計の決算書には、「利益」に対応するような数値はありません。行政の目的は、営利ではなく「住民の福祉の向上」です。そのために計画された事業があり、予算があります。その予算が、目的を遂行するために正しく使われたか、決算の審議はそこがポイントになります。以下抜粋で報告します。
◆◇◆浦安市への土地譲渡ついて
市と協議を進め早期の引継ぎを
平成26年度末に造成土地整理を収束させる予定の企業庁。景気回復を背景に、分譲と貸付が進んでいますが、平成24年〜26年の清算期間終了後の未処分土地は459ヘクタールになる見込みです。
浦安では、平成24年に市と企業庁が協定を締結。元々計画にあったものの、整備しきれなかった公共施設に代えるかたちで、企業庁の保有土地を市に譲渡しています。
その進捗を確認したところ、「現在引き継ぎに必要な工事を企業庁が行っており、整備状況を見ながらできるだけ早く引き継いで行く」とのことです。
浦安市内には、他にも企業庁保有の未分譲地があります。25年度には、第二期の清算が行われ造成原価が確定しました。事業収束が迫る中、残る分譲地の売却を急ぐことは重要ですが、市民の生活環境を第一に考えて清算が進むよう、引き続き注視してまいります。
◆◇◆海を活かした観光について
海を活用した観光と交通
観光施策の決算にからみ、三方を海に囲まれた千葉の特性を活かした観光の取り組みについて聞きました。
以前は主流だった潮干狩り・海水浴客が年々減少している中、海を活用した新たな観光地像として、「ヨーロッパの高級リゾート」「マリンスポーツ」「高齢者・子どもも楽しめる快適な海岸」「釣り」などをキーワードに、検討を進めているという答弁でした。
また、これまでにも何度か提言している、海上交通の整備に関しては、「観光船や海上交通の整備は、東京オリンピック時の陸路の混雑回避にもつながり、海上観光だけでなく、5輪会場への移動手段、千葉への観光誘客のルートとしても可能性があると考える」と、前向きな答弁が聞かれました。
引き続き、海上交通の整備について、調査研究を進め、継続して取り組むよう要望しました。
◆◇◆起業支援とブラック企業対策
起業支援に積極的取り組みを
県では、「チャレンジ企業支援センター」を設け、創業者をはじめ、さまざまな経営相談に応じています。また、創業資金の貸付制度や信用保証量の割引制度などもありますが、起業支援索として、私は不十分だと考えています。東京都では、創業期の一定期間、安価で利用できるインキュベーションオフィスを整備するなど、起業支援に積極的。新たな施設を建てるばかりでなく、たとえば空きオフィス、空き家、空き店舗を活用した支援もあると考えます。
中小企業、商店は千葉の活力。積極的な取り組みを要望しました。
また、最近話題の「ブラック企業」については、現状を把握し、対策を取るよう要望しました。
◆◇◆低地対策と境川の水門について
津波・高潮に対応する安全な河川に
県内では、さまざまな河川改修事業が行われていますが、中でも津波・高潮・侵食で被害が生じる恐れがある箇所を優先して整備が進んでいます。
市内では、浦安海岸(舞浜リゾートエリアから千鳥までの海沿い)が対象となっています。そのほかにも、震災により崩落した日の出護岸、長期にわたり市から要望されている境川河口の水門、旧江戸川沿いの「カミソリ堤防」など、安心・安全を確保すべき箇所が多数存在します。市の周囲のほとんどが水辺である浦安。水辺の安全は、県が主体となる事業だからこそ、緊密な連携が必要です。
◆◇◆学習サポーター事業について
事業の更なる推進で教育力の向上を
学習サポーター事業は、平成25年からはじまった新たな取り組み。公立の小中学校に、学習サポータを派遣し、学力向上をはかるもので、165校で実施されています。
初年度の事業評価を聞いたところ、「実施校のうち99%が、『学習意欲の向上』に対し『よくあてはまる』と評価、『学力の向上』も50〜60%が、『よくあてはまる』と答えている」そうです。
公立教育は、格差社会を解消し、より良い次の社会を担う人材を育てるための、重要な投資的事業。千葉の教育力の増強として、まず「人」を増やすことが効果的であることが、この事業により検証されたと思います。県内全域の学校で、この事業が行われるよう働きかけてまいります。
◆◇◆防災教育研修会について
受講機会の拡大をを
県教育委員会では、「防災教育のリーダーになる人材を育成し、学校における防災教育の推進と充実を図るため、教員と管理職を対象にした「防災教育実践研修会」を実施しています。
震災を経て、学校の防災面の役割が、注目される中、こうした育成は、重要だと考えますが、研修会が年に1度千葉市のみの開催と、機会が少ないのがネックです。受講機会の拡大を検討するよう求めました。
◆◇◆その他
その他にも、建設中の県立がんセンターについて、現場の医師・看護師の要望をよく聞くよう求めたり、液状化等被害住宅の再建支援の申請期間の延長を要望、おなじみの東洋高速鉄道の民間社長採用提言など、多岐にわたり質疑しました。
基本的に事業を正しく評価し、それを正しく予算に反映していくことが重要です。
3月の予算委員会では、その視点で新年度予算を慎重に審議します。