
高市早苗首相の衆議院予算委員会における答弁が論議を呼び、その余波はしばらく止みそうにありません。それは去る11月7日に起きました。
首相の所信表明に対する基本質疑(総括的質問)初日に、立憲民主党から2番目に立った岡田克也委員(元副総理)は、前段において、継続性の尊重が外交において非常に重要であることを強調する質問を行いました。
その上で、2015年安全保障関連法制定時の内閣法制局長官による答弁等を引きつつ、大変な危険をはらんだ法条文「存立危機事態」について、高市首相の見解を問い質していました。憲法上で許容される武力の行使が限定されていることを、高市首相自身が、答弁で認めています。
しかし、問題の「存立危機事態」は、どうにでも読める大きな裁量を政府に与えかねないものではないか、「どういう場合に存立危機事態になるのか」と重ねて質問しました。
その時、高市首相の発言はなされました。最初は政府の模範解答を繰り返していたのに、突然「戦艦を使って武力の行使も伴えば、どう考えても存立危機事態になり得る」と発言しました。これで、最初に議論したはずの制限が全部飛んでしまったのです。
この発言を、従来の首相答弁が慎重に具体的外交問題への言及を避けてきたことからの逸脱として、反省を求めることも大事です。
しかしわれわれは、冷静さを今一度取り戻し、あいまいな解釈の余地を残す、この「存立危機事態」という条項に歯止めをかけること、時の内閣の偏った判断によって、安易に日本が武力行使にまで至り、決して戦争に巻き込まれたりしないようにすることが、より重要ではないでしょうか。
折しも今年は、先の大戦が終わってから80年の節目の年です。私の祖父も1人息子である幼い私の父を残して、戦地へ赴き、帰らぬ人となりました。さぞ無念だったと思います。
あの時代、いや古今東西を問わず、戦争によって祖父のような気持ちでお亡くなりになった方々は無数にいらっしゃると思います。
だからこそ、今を生きる私達は、そうした皆さまに想いを馳せ、二度と同じような思いで亡くなる方がいないようにしていかなければなりません。
ただ、「歴史は繰り返す」とも言われます。決してそのような事態を招かぬよう、平和を愛する者として、身命を賭して日本が誤った方向へ進むことを防ぐ決意を、今回、新たにしました。
