東日本大震災が起こる前、千葉県の人口は、緩やかに増加し、平成29年の626万2千人をピークに、減少に転ずると推計されていました。
しかし、震災以降、液状化が起きた地域や、放射線量が高い所謂「ホットスポット」と呼ばれるエリアなどから県民の転出が続き、今年1月には、戦後はじめての人口減に転じました。
1月1日現在の人口は前年比1万693人減少の620万6334人。転出者が転入者を1万1418人上回っています。
少子高齢化時代は、都市間競争の時代と言われています。人口減により住宅供給量に余裕ができるため、行政サービスの質や都市ブランド、教育レベルなど、さまざまな価値観で、都市を比較し、住民が選ぶ時代が、千葉でも徐々にはじまっていました。
しかし、東日本大震災により、その時代の幕は、一気に開かれ住民が都市を選ぶ条件の筆頭は「安心・安全」という、都市基盤のもっとも基礎的なものになりました。
増えると予想されていた人口が減っており、特に子育て中の若い世代の転出が目立っていることは、自治体の基盤を揺るがしかねない事態だと、私は強い危機感を抱いています。
再度、都市間競争に勝つ「選ばれる都市」になるために、なにをすればいいか、それは、うわべだけではない、真の復興を一日も早く果たすことに他なりません。
人口減が激しい地域の多くは、震災で大きく傷ついています。県は、そうした市町村を支援し、一丸となってこの危機に立ち向かっていくことが必要です。
それと同時に、税収予測を柔軟に見直し、財政を引き締めて、都市経営を慎重に行っていくことも重要です。
過去最大の当初予算規模となった24年度。森田知事は、任期満了に向け、公約の実現を急いでいる姿勢が見えます。
千葉の信頼回復のため、安心・安全な都市基盤の再建を最優先にしていくよう、厳しく県の姿勢を問うてまいります。