毎度報告が遅くて申し訳ないのですが、先月の中旬、民主党県議会議員有志で、岐阜・愛知に視察に行きました。岐阜は2006年に、愛知は2008年に不正経理が発覚しており、不正経理の調査方法や、再発防止策の事例を学ぶための視察です。
岐阜では、発覚後、庁内に「資金調査チーム」を結成し、調査を進めるとともに、3名の弁護士で構成される「プール資金問題検討委員会」を設置。委員会の提言を受けて、徹底調査、厳正処分、全額返還を実施、また、かなり踏み込んだ情報公開を中心とする再発防止策「岐阜県政再生プログラム」を策定し、この問題に対処しています。
公的機関では、帳簿などの資料が残っているのは5年間、それを理由に、調査対象期間を5年とする自治体が多いなか、岐阜では、過去12年(1992年)にまでさかのぼって調査を実施、約17億円のプール金・預け・差替などの、不正経理があったことが判明しました。調査に際しては、税法上、民間企業の保存期間は7年であることから、業者などの帳簿を洗い出した他、それ以前の年度は、職員・退職者への聞きとりや書面による調査を行ったそうです。
処分では、不正経理に係った職員のうち、私的流用など個人責任がある者に関しては、刑事告発を行い懲戒免職(10名)、諭旨免職、停職など、厳しく対処。更に、歴任の知事、退職職員、現職職員などが、不正経理額に利息を含めた約19億2千万円全額を返還しています。
更に、再発防止のため、県のホームページで14万件に及ぶ公金支出を全面公開するなど、徹底した情報公開を行い、信頼回復に努めています。(→岐阜県ホームページ 不正経理対応状況)
愛知では、不正にプールした公金の総額は、過去8年で約15億円に上るものの、私的流用は確認されていません。しかし、架空発注や差し替えによる損害を認め、今年2月、算出した損害額2億4800万円を、職員や退職者に自主返還させることを発表しました。当初、全額返還の目標期間は7月末としていましたが、5月末時点で、損害額を大幅に上回る4億1300万円の自主返還金が職員・退職者から集められたそうです。
今回の視察を終えて、感じることは、千葉の「甘さ」です。森田知事は、「膿を出し切る」と何度も明言しながら、調査期間は、他県並み(5~6年)で終了しそうな兆し。処分も返還額も、おざなりのものになるのではないかと危惧されています。
不正経理は、大変腹立たしくあってはならないことですが、発覚した以上は、腐敗していた組織を清潔で健全なものに再生する大きなチャンスと捉えるべきです。膿を残したままで、それができるとは、到底思えません。
まずは、病巣の原因を徹底的に洗い出し、それを正直に開示することからはじめるべきだと思います。