『千葉経済「回復に弱さ」
県財政事務所判断を下方修正』
先週、こんな見出しの記事が新聞の京葉版に載っていました。
原油、原材料の高騰を背景に、企業経営者の景況感が悪化しており、 県財政事務所では、千葉県内の経済情勢報告で、景気の総括判断を「緩やかな回復に弱さがみられる」と下方修正したというもの。
景況を天気にたとえて7段階で評価する総括判断も、2006年4月から8期続いていた「晴れ一部くもり」から、1段下げ「くもり一部晴れ」(上から3段目)となり、3年ぶりに評価が引き下げられたということです。
こんなニュースを見るたびに、脳裏に浮かぶのは、銀行時代に担当していた中小企業の社長さんたちの顔です。今のところ、個人消費は堅調と言われてはいますが、物価上昇、後期高齢者医療制度、年金不信など、相次ぐ生活不安の中、今後消費意欲が冷え込んでいくことが予想されています。製造コストの上昇をそのまま価格に反映すれば、買い控えが起こる、なんとか価格を上げずにがんばろうと、厳しい経営努力をする経営者。私が銀行に入ったのは、バブル崩壊→「平成の大不況」という時代でしたので、こうした中小企業の血のにじむような努力を目の当たりにしてきました。
今後の経済見通しを考えると、早期に中小企業の経営支援策を打たなければならないと思います。民間の銀行は、正直に申し上げて「堅い」ところにしか、融資ができません。そこで、公的な支援がどうしても必要になるのです。
埼玉県の事例です。埼玉県は、前知事の在任期間中に、債務が8000億円から2兆8000億円に膨らむ厳しい財政状況に陥っていました。2003年9月、民主党の衆議院議員だった上田清司氏が、財政再建を訴えて、知事に当選。以来、精力的に行財政改革を進めています。
その中で、注目したいのが、中小企業を対象にし無担保・第三者保証人不要の「スーパーサポート資金」です。融資を実行するのは金融機関ですが、返済が困難になった場合、県が損失の一部を負担する損失補償と信用保証協会の信用保証を付けることで、融資を受けやすくする制度です。
こうした施策により、埼玉県の事業所の増加数は、2004から2006年に、全国2位になったそうです。
千葉にも似たような制度ができましたが、どうも利用率が低いような気がします。以前から言っているように、この国の経済を支えているのは、中小企業です。こうした制度の周知を行い、不況に耐える中小企業を支えていかなければならないと思います。