千葉県議会観光立県推進議員連盟の視察で、匝瑳市と旭市に行ってきました。今年初め、この記事「→「東京湾視察」でも、書きましたが、観光立県推進議員連盟は、超党派で組織している議員連盟で、千葉県の観光資産について調査・研究をしています。
前回は、東京湾第二海堡など海上の観光資源を中心にした視察でしたが、今年は、夏には海水浴客で賑わう匝瑳市・旭市へ。両市の海水浴スポット以外の観光資産を視察してきました。
まず、匝瑳市にある「飯高寺」へ(写真)。飯高寺は、天正8年(1580年)に開設された日蓮宗の学僧の学び舎。多くの名僧を排出した「日蓮宗最古、最大、最高の学問所」(匝瑳市観光パンフレットより)です。
杉の巨木が並ぶ参道の奥に、国の重要文化財、飯高寺講堂が静かにたたずんでいました。400年以上前から、この場所で多くの学僧が勉学に励んでいたと思うと、身が引き締まる思いがします。
古の学び舎らしく、質素でありながら厳かな姿の美しい日本建築は、一見の価値あり。じっくりと考え事をしたいときなどに、また来たくなる場所でした。
次に、同市の樹齢約1000年の椎の木(市の指定文化財・写真)を視察。匝瑳市は、全国有数の植木の産地。また巨樹・巨木の数でも、全国屈指だということです。樹齢1000年の椎の木は、大きさだけではなく、長い年月を耐え抜いてきた風格がありました。
お昼をはさんで、旭市に移動。
旭市で最初に視察した鎌数伊勢大神宮は、千葉県内ではここだけという伊勢皇大神社の分社で、寛文11年(1671年)に創建されました。
この神社では、毎年3月の例祭に神楽殿で「鎌数の神楽」を奉納しており、この神楽は、千葉県の無形文化財に指定されています。300年前から、継承されてきた神楽ですが、後継者不足が課題となっているそうです。
その後は、旧香取航空基地の跡地の掩体壕(えんたいごう:戦闘機を敵の攻撃から守るための格納庫)と、大原幽学記念館(写真)を視察。大原幽学は、天保、嘉永、安政にかけての混乱の世に、現在の旭市を中心に、道徳と経済の調和を基本とした性学(せいがく)を説き、農民や医師、商家の経営を実践指導した人物で、その功績や肖像画、書などが展示されている記念館です。
駆け足の視察でしたので、ゆっくり幽学について、知ることができず残念でしたが、崩壊の危機にあった農村をいかに再興したのか、また改めて学びたいと思います。
今回の視察先は、率直に言えば、派手さもきらびやかさも単純な楽しさや興奮も、期待できない観光資産です。ただ、そうしたものより、もっと深い何かがあることは確かであると感じました。地味で静かで厳かで歴史を感じることも、観光のひとつの切り口になるはずです。こうしたいわば“いぶし銀の観光資産”にスポットをあてることにより、資産の保守・保全・継承につながればと思います。