
日本銀行は金融政策決定会合において、政策金利を1.00%程度へ引き上げることを決定しました。原材料高や物価上昇への対応、そして国民生活を苦しめてきた記録的な円安を是正して「経済の好循環」を生み出すという方向性そのものについては、私も一定の評価をしています。私自身、物価高を招いたこれまでの異次元緩和の見直しや、過度な円安の抑制を一貫して訴えてまいりました。その意味で、今回の決定は長年続いた歪んだ金融政策からの転換点と言えます。
しかし、諸手を挙げてこの利上げを歓迎するわけにはいきません。元銀行員として中小企業融資の現場で汗を流し、多くの経営者の方々と苦楽をともにしてきた私だからこそ、この「金利のある世界」への急激な変化に対して、誰よりも強い危機感を抱いています。
今回の利上げは、住宅ローン金利の負担増という形で、ただでさえ物価高に苦しむ現役世代の家計をダイレクトに直撃します。そしてそれ以上に私が危惧しているのは、我が国の経済と雇用を支える中小企業の資金繰りです。長年ゼロ金利環境に置かれていた現場にとって、資金調達コストの急増は死活問題です。十分な準備期間がないまま金利負担だけが増えれば、企業の黒字倒産や、それに伴う賃下げという最悪のシナリオを招きかねません。これでは「経済の好循環」どころか、地域経済の冷え込みを再燃させてしまいます。
今、政治に求められているのは、マクロ経済の数字だけを追うことではなく、血の通ったセーフティネットの構築です。政府は日銀の安易な追加利上げを牽制しつつ、生活必需品の物価引き下げや、地域経済を支えるきめ細やかな政策融資などの激変緩和策をただちに講じるべきです。現場の声を決して置き去りにしない、真の「生活者ファースト」の経済政策の実現に向け、私はこれからも全力を尽くしてまいります。
