不登校の現状と課題について
8月も下旬となり子ども達の夏休みも残り少なくなってきました。来月には新学期を迎える訳ですが、皆さんはご存知でしょうか?この時期が子どもの自殺が増える傾向にあることを。

内閣府の調査によると、1972年から2013年に自殺した18歳以下の子どもは18,048人。このうち日付別で最も多かったのは9月1日の131人。前後の8月31日は92人、9月2日は94人と多くなっています。この数字を内閣府は、長期の休みの直後は児童や生徒の生活環境が変わりやすく、重圧や精神的な動揺が生じやすいと分析しています。
2016年度における不登校生徒数は全国で小学校31,151人、中学校10,3247人、合計134,398人。千葉県は小学校1,456人、中学校4,191人、合計5,647人となっており増加傾向にあります。
千葉県としても、こうした現状を踏まえて対策を強化しています。県教育委員会は今年度より解決が困難な状況に対応する「不登校対策支援チーム」を発足した他、防止策や初期対応策などをまとめた「千葉県版不登校対策指導資料集」を全小中高等学校に配布しました。
千葉県議会でも今年3月に超党派で「千葉県議会フリースクール等教育機会確保議員連盟」を結成して、フリースクール等を通じた教育機会の提供を推進していく取り組みを始めました。
今年7月には議員連盟で川崎市にある公設民営のフリースクール「フリースペースえん」を視察してきました。ここでは不登校の子ども達が生き生きと勉強や遊びをしていました。
「えん」の運営者のお話もお聞きしましたが、印象に残っている言葉を幾つかご紹介すると、「安心して失敗できる環境作り」、「できないことを受け入れる力も大切」、「自己肯定感を育む居場所作り」、「生きている、それだけで祝福される」、「困った子ではなく困っている子」等です。「えん」では、子ども達の「最善の利益」を求めて全てが行われており、このような環境だからこそ不登校の子供たちも、それぞれの個性を生かしながら成長していけるのだと思いました。
また、先日は千葉県フリースクール等ネットワーク代表の前北氏と、意見交換させて頂きました。その中で見えてきた課題は、「学校や周囲が不登校というだけで問題行動であると受け取られないように配慮していくこと」、「不登校児童生徒が社会的自立を目指せる環境作り」、「長期に不登校となっている児童生徒の学校以外の場での学習への支援」等です。これらの課題を解決していく具体策としては、「フリースクール、ホームスクーリング家庭への財政措置」、「県立の不登校特例校の新設」、「不登校児童生徒を支援する官民合同会議の設置」、「学校復帰を前提としない社会的自立を目指した支援のあり方を策定」、「普通教育機会確保法に準拠した千葉県独自の条例」等が考えられます。
文部科学省も既に不登校は問題行動ではないとしています。不登校をゼロにしていくことは難しいと思いますが、不登校が原因での子どもの自殺をゼロにすることは可能だと考えます。
そのためにも、不登校の児童生徒に寄り添う柔軟な教育ができるように、これからも取り組んで参ります。
平成30年8月22日
矢崎けんたろう